ホツマツタヱ全文紹介! 天の巻 序/①。 原文ひらがなと漢字読み。

ホツマツタヱとアワのうた

天の巻  序 1(東西の名と蝕虫去る文)、ほつま伝えを展ぶ、古史古伝といわれその真偽は未だ多くの議論を呼んでいるが、現在常識化している歴史学が真実であるとする証拠も実のところ怪しいものです。 今必要なのは、教えられることのなかった歴史資料にも関心の目を向け、自らそれらを精査しようとする意識ではないでしょうか。

ホツマツタエは、古代文字(神代文字)で書かれ、大和ことばで綴られた壮大な叙事詩です。

前半天の巻地の巻をクシミカタマ(神武時代の右大臣)が、後半人の巻をオオタタネコ(景行天皇時代)が、編纂、筆録と記されています。

天の巻 序 ほつまつたゑおのふ 【ほつま伝えを展ぶ】

     ( 原文ひらがな )         ( 漢字読み )                    

   あめつちの ひらけしときに     天と地の うまれる時に

   ふたかみの とほこをさむ     二尊の  経矛に治む

   たみまして あまてるかみの     民 増して  アマテル神

   みかかみお たしみくさの     御鏡を 足して三種の                              

   みたからお さつくみまこ     神宝を 授く御孫

   とみたみも みやすけれ     民も   実 安ければや  

   とみをや しいるいさめ     臣が祖 しいる諌めの                                

   おそれみに かくれすみゆく     畏れ見に 隠れ住みゆく

   すゑつみお いまめさるれは     末つ身を 今 召さるれば                                 

   そのめくみ あめにかえりの     その恵み 返りの

   もふてもの             詣で

 

    ほつまつたゑの            ホツマツタヱ

   よそあやお あみたてまつり     四十文を 編み奉り

   きみかよの すえためしと     君が結の 末の例と

   ならんかと おそれみなから     ならんかと 畏れ見ながら

   つほめおく これみひと     つぼめ置く これ見ん人は

   しわかみの こころほつま     『地上の  心ほつまと  

   なるときは はなさくみよ     なる時は 花咲くみよの

   はるきぬらん           春や来ぬらん』

   いその まさこよみ     『磯の地の  真砂は読みて  

   つくるとも ほつまのみち     尽くるとも ほつまの道は

   いくよつきせし           幾代尽きせじ』  

   みわのとみ ををたたねこ     ミワの臣 ヲヲタタネコ

   ささけんと ふもみそよとし     捧げんと 二百三十四歳

   つつしみをす           謹みて押す                                 

   をりつけの うはのしるし     織付の      上の記しとして

   はなをしお そゑささくる     花押を      添えて捧ぐる

   ことのへうた           寿述べの歌  

   ひさかたの あめかしたしる     久方の 天が下領る

   わかきみの よよつたはる     我が君 (景行天皇)の 代々に伝わる

   かんむりは あまてるかみ     冠は       アマテル神

   つくらせて さをしかやつの     造らせて 差使八つの               

   をんみみに きこしめさるる     御耳に 聞し召さるる

   あさまつり あまねくとほり     朝政  あまねく通り

   あまてらす ををんたから     和照らす   大御宝

   ゐもやすく やすくにみや     気も安く ヤスクニ宮

   たたゑます             称えます

     やよろとしへ         八万年経て

   こゑうちの いさわのみや     還内の イサワの宮

   をわします みこおしほみは     御座します 皇子オシホミ

   ひたかみの たかのこうにて     ヒタカミの タカの首にて

   くにをさむ まこほのあかり     国治む   孫ホノアカリ

   かくやまの あすかのみや     カグヤマの アスカの宮

   をわします             御座します

    おとににきね            弟ニニキネ

   にいたなす にはりのみや     新治成す  ニハリの宮

   そやよろに にいたみふゑ     十八万年に 新民 増えて

   たかき はらみのみや     名も高き ハラミの宮 (ハラアサマ宮)に

   たみおたし ついしわかみ     民を治し ついに地上

   ほつまなる むそよろとし     ホツマ成る  六十万年の

   しりて いかつちわくる     節を領りて 雷 別くる

   いつのかみ             逸の尊  

   ときをんかみ           時に御神(アマテル大御神)

   のたまふは いまににきねの     宣給ふは 「今 ニニキネの

   さきみたま くにとこたち     先神霊 クニトコタチ

   わさみたま あらはるいつと     業神霊 現る稜威」 と

   かかなえて わけいかつちの     かがなえて ワケイカツチ

   あまきみと なつけたまはる     天君と 名付け賜わる

   はしめ いますへらき     世の初め( 地上の天君の始まり)今 皇の         

   あまきみは みなににきねの     天君は みなニニキネの

   いつによる             稜威による

   みこまこひこ           御子・孫・曽孫の

   すえまても あまてらします     末までも 和照らします

   ををんかみ ももなそよろ     大御神 百七十万の

   として もとひのわ     年を経て 本の日輪に

   かえまして あおひとくさ     還えまして 青人草

   てらします このゆえきみも     照らします このゆえ君も

   とみたみも ゐおやすくぬる     臣民も  気を安く温る

   をんめくみ             御恵み  

   あらわせる           世に著せる

   そのふみは ほつまつたゑ     その文は ホツマツタヱに

   まさるなし いまよのこる     勝る無し 今 世に残る

   いゑいゑの ふみもそれそれ     家々の 文もそれぞれ

   かはりある たれまこと     変りある 誰を真と

   なしかたし かれひとつ     なしがたし 故に一つを

   あけしるす             挙げ記す  

   ふそむあや           二十六の文に

   かもわれて とよたまひめ     『カモ破れて トヨタマ姫

   なきさにて たけきこころ     渚にて 猛き心に

   およかせは たつみつち     泳がせば 蛟竜

   ちからゑて つつかもなみ     力得て  恙も和みの

   いそつく             『磯に着く』

   これよそにて           これを他所にて

   ふねわれて たつとみつちの     『船 破れて  竜と蛟竜の

   ちからゑて これあやまれる     『力得て』 これ誤れる

   てにおはそ すへてななや      テニオハぞ 総て七家の

   しるしふみ ことなりかち      記し文 異なりがちは

   これにしれ             これに知れ

   わかかみをす           我が上の押す (先祖の記す)

   みかさふみ ほつまつたえ     ミカサ文  ホツマツタエと

   わりうるり あわすことく     割瓜  合わす如くの

   こころなり よよをきて     心なり 代々の掟と

   なるふみは ほつまつたえと     なる文は ホツマツタエと

   おもふゆえ ふかきこころ     思ふゆえ 深き心を

   そゑゐれて あけたてまつる     添え入れて 上げ奉る

   すえをして           末にヲシテぞ(御言宣:みことのり) 

 

    はなそゑうた            — 華の添歌 —

   かかんなす はるひとしく     『かかんなす 春のひとしく

   めくりきて いそまさこ     巡り来て 磯の真砂は

   いわなる よよのんてんの     岩となる 弥々のんてん  (伸びて至る)の

   ほつまふみかな           ホツマ文かな』

    まきむきの ひしろみよ     マキムキのヒシロの御代に

   みかさとみ いせのかんをみ     ミカサ臣 妹背の上臣

   ををかしま ふもよそなとし     ヲヲカシマ 二百四十七歳

   ささくはなをし           捧ぐ花押

 

ホツマツタヱでは、物語の始まりは、イサナキ・イサナミの第一子ヒルコ姫の誕生から始まります。

天の巻1 きつのなとほむしさるあや【東西の名と蝕虫去る文】

   それわかは わかひめかみ      それワカは ワカ姫 (ヒルコ姫)

  すてられて ひろたそたつ      捨てられて 「拾た」 と育つ  (葦船にて流されたのち、重臣カナサキ夫妻に拾われて 廣田宮で育てられる)

  かなさきの つまて      カナサキの 妻の乳を得て (カナサキの妻の乳をもらう)

  あわうわや てふちしほのめ      アワウワや 長ぢ 初の目 (あわうわや:赤子をあやす時の言葉)

   うまれひは かしみけそなえ     生れ日は 炊食供え (誕生日には赤飯で祝い)

  たちまひや みふゆかみおき     立舞や 三冬 髪置き (立ち歩くようになって三年)

  はつひもち あわのうやまひ     初日 十五日  陽陰の敬ひ  (一月一日・十五日)                          

  たなはたや きくくりいわひ      棚機や 栗祝ひ (七月七日の七夕や桃の節句、九月九日・十三日は菊と栗を供えて祝い)

  ゐとしふゆ はかまきる      五歳冬   男は袴着る (五年目十一月、男子は袴)                               

  かつき              女は被衣 (女子は着物を着て祝う)

  ことはなおす             言葉を直す  (言葉を教えるには)

  あわうたお つねをしゑ      アワ歌を 常に教えて (アワ歌を教えることで、正しい言葉と発音を教える。)

 以下、アワのうた

   あかはなま いきひにみうく    『アカハナマ    イキヒニミウク

  ふぬむえけ へねめおこほの    フヌムエケ    ヘネメオコホノ

  もとろそよ をてれせゑつる    モトロソヨ    ヲテレセヱツル

  すゆんちり しゐたらさやわ    スユンチリ    シヰタラサヤワ』

 

   あわのうた かたかきうち    和の歌      カダカキ打ちて (琵琶のような楽器を使い)

  ひきうたふ おのつとこゑ    率き歌ふ     自ずと声も (事に合わせて歌うことで)

  あきらかに ゐくらむわたを    明らかに     五臟六腑 緒 (正しい発音と言葉を覚える)

(語源は、人の魄(しい:体)を維持していく各機関五臟と人の魂(たま:精神性)をつくる6つの要素六腑を表すもの。臓器の種類でいう単純な意味での五臟六腑(ごぞうろっぷ)ではない。)

 

  ねこゑわけ ふそよかよひ    根隅分け      二十四に通ひ (二十四音ごと、内回りと外回りで、24音で折り返して歌う四十八音)

  よそやこゑ これみうち    四十八声     これ身の内の

  めくりよく やまひあらね    巡り良く     病あらねば (体の循環よく病もない)

  なからえり すみゑをきな    永らえり     スミヱの翁  (カナサキ)

  これおしる            これを知る

 

  わかひめさとく          ワカ姫聡く (聡明なワカ姫は)

  かなさきに きつさね    カナサキに (東西南北の名の)

  ゆゑこふ            故を請ふ (由来を尋ねる)

   をきなのいわく          翁の曰く

  いつる かしらひかし    「日の出づる     頭は (日が登るのは東)                                         

  たけのほる みなみるみなみ    猛昇る      皆見る (日が昇れば皆みる) 

  ひのおつる にしにしつむ    日の落つる    西は熟沈む (日が落ちると、煮え沈むので にし となる)

    よねみつ かまかしく    米と水      釜に炊ぐは (米を炊くには)

  ひかしらや にゑはなみなみ    火頭や      煮え花 皆見(初めの炎、煮えたぎると皆が見る)

  にゑしつむ ゑかひとたひ    煮え静む     回日一度の (火を弱めて次第に煮え静まってゆく様は日の巡りとおなじです)

  みけこれ            食はこれ

   ふるとしふより             「経る年 古より 」(昔から)

  つきみけの ひともよろ    月三食の  人は百万に (月に3度の食事をするようになると、人は百万歳まで)

  つきむけの ひとはふそよろ    月六食の   人は二十万 (月に6度の食事をするようになると、人は二十万歳まで)

  いまは たたふよろとし    今の代は ただ二万年 (今は毎日食べるので、二万歳まで)

  いきなるる みけかさなれ    生き均るる 食 重なれば (職を取りすぎると)

  よわひなし ゆえをんかみ    齢なし   故に御神 (長生きできない、ゆえに大御神は)

  つきにみけ にかきはほな    月に三食  苦きハホ菜や (月に三度、苦みのある穂や菜っ葉を食し)

   みなみむき あさきうけ     南向き   朝気を受けて  (南に向かう宮で、朝日の気を受け)(正面が南を向き    朝日の霊を受ける) 

 なかいきの みやのうしろお     長生きの 宮の後ろを (住む人を長生きさせるその後宮のことを)

  きたいふ よるねるゆゑ     と言ふ  夜は寝る故 (きたと云います、夜は後宮で寝るゆえ)

  きたはそ             北は “ネ” ぞ (北を  という)(東西南北:キツサネと読む)

   もしひときたり           もし人来たり

  ことわけん あわねはきたよ      応わけん  会わねば北よ (合わないのならば、北)

  あふはひて みなみにこと    会ふば日手   南に事を  (南:日のあるうちの事を終え)

  わきまえて おちつくにし    わきまえて  落ち着くは西 (さ:西 にはことが落ち着き)

  かえるきた ねよりきたりて    帰る北   より来たりて (北:ね 寝に帰る)

   はるわかは             「木は春 若葉

  なつあおは あきにゑもみち    夏 青葉      秋 熟もみぢ

  ふゆおちは これおなしく    冬 落葉      これも同じく (春夏秋冬の巡りもこれに同じく)

  きたに きさすひかし    根は北に     萌す東や (根:ね は北、青葉繁は東)

  さかゑ にしつくる    南に栄え     果は西付くる (南の日差しに栄え、西に傾くは秋に果を成し 冬に枯れる そして根:北に帰る)

   きみの くにをさむれ    「”ヲ” は君の    国治むれば (ヲは天君が治める中央)

  きつをさね よもとなかなり    東西央南北    四方と中なり (四方をおさめるが故中央にヲ、東西央南北:キツヲサネは国中をおさめることの意)

  はひかし はなはもみなみ    「起は東      華栄 南 (木は東に 南に花咲き)

  このみにし わけおふる    熟み 西      身を分け生ふる (木が身を分けて結ぶのが西)

  きのみゆゑ きみをめかみ    木の実ゆえ    木実は男女」 ( 木の実は、きみ:夫婦をあらわす)

   しかるのち いさわのみや    然る後      イサワの宮に (成長されたワカ姫が、いさわの宮にいるときに)

  はへるとき きしゐいなた    侍る時      キシヰの稲田  (紀州にある田畑)

  ほをむしに いたむなけき    蝕虫に      傷むを嘆き (群生したイナゴに稲を食われる)

  あるかたち つくるいさわの    ある形      告ぐる結和の

  ををんかみ あまのまなゐ    大御神      アマのマナヰ

  みゆきあと            御幸後 (大御神がアマのマナヰ:高間殿に出掛けているとき)

  たみなけき          民の嘆きに (民の助けに対して)

  むかつひめ いそききしい    ムカツ姫     急ぎキシイに (瀬織津姫と共に紀州に向かう)

  ゆきひらき たのきたち    行き翻らき    田の東に立ちて (そして、田の東側に立ち)

  おしくさに あほくわかひめ    押草に      扇ぐワカ姫 (檜扇で仰ぎながら、(“田の起”を願う、呪(まじない)うたをうたう)

  うたよみて はらひたまえ     歌詠みて      祓ひ給えば 

  むしさるお むかつひめより    虫去るを     ムカツ姫より

  このうたお みそめまて    この歌を     三十侍を左右に (30人の青侍にも順番にうたわせ、虫を追い払うことができるといいます)

  たたつませ おのおのとも    たたづませ    各々共に

  うたはしむ いなむしはらふ    歌わしむ     厭虫祓ふ

  わかのましない          ワカのまじない (これが、ワカ姫の呪いのまわりうた)

 

  たねはたね うむすきさかめ    『種 畑種      大麦 小麦 盛豆

  まめすめらそろははめそ    大豆 小豆らの    繁葉も蝕めぞ

  むしみなしむ          虫もみな垂む』

             (茂る葉も多少は傷むが 虫も一緒に衰える呪い歌)

 

   くりかえし みもむそうたひ    繰り返し     三百六十歌ひ (これを360回繰り返す)

  とよませは むしとひさり    響動ませば    虫 飛び去りて

  にしうみ さらりむしさり    西の海      さらり蝕更り

          (一転して蝕みは直り、虫たちは西へと飛び去った)

  はらひ やはりわかやき    穢を祓ひ     やはり若やぎ

  よみかえる そろみのり    甦る       に実りて

  ぬはたまの かてうる    ヌバタマの    世の糧を得る

  おんたから            御宝

   よろこひかえす             喜び返す

 

  きしゐくに あひのまゑみや    キシヰ国     太陽の前宮 (紀州には、天日宮がありましたが)

  たまつみや つくれやすむ    タマツ宮     造れば安む (瀬織津姫の為に、天日前宮を作った)

  あひみやお くにかけなす    太陽宮を     国懸となす (天君からの地方への連絡の拠点とする)

 

  わかひめの こころととむ    ワカ姫の     心を留む (ワカ姫の素晴らしい歌を後世に残すため)

  たまつみや かれたるいね    タマツ宮     枯れたる稲の (タマツ宮を建てた、一度は枯れかかった稲が若返るこのうたのことを)

  わかかえる わかのうたより    若返る      沸の歌より

                   (“沸返(わかがえ)る”の意)

  わかのくに            沸の国   (若返った:よみがえった邦:くにをワカ:現在の和歌山とした)   

 

   たまつをしか             タマツの御使 (タマツ宮への使い:勅使アチヒコのこと)              

  あちひこお みれこかるる    アチヒコを    見れば焦るる 

   わかひめの わかのうたよみ    沸姫の      沸の歌詠み

  うたみそめ おもひかねてそ    歌見染め      思ひかねてぞ

  すすむるお ついとりみれ    進むるを     つい取り見れば

(ワカ姫の、一目惚れしたアチヒコに対する恋ごころを、回りうたにしてうたった。)

   きしいこそ つまみきわに    『キシイこそ    伴を身際に

  ことのねの とこわきみ    琴の音の     に我君を

  まつこいしき          待つぞ恋しき』

  (紀州においでの際は琴を引いてお迎えします 床に就くときはいつでもあなた様の事を想ってお待ちしております)

(アチヒコはどう返してよいのか悩み、高間殿に戻った後にカナサキに問うた。)

   おもえらく はしかけなくて    思えらく     橋 架けなくて (仲人なし)

  むすふやは これかえさん    結ぶ和      これ返さんと

  かえらねは ことのはなくて    返らねば     言の葉なくて

  まちたまえ のちかえさんと    「待ち給え     後 返さん」 と

  もちかえり たかまいたり    持ち帰り     タカマに到り

  もろとふ            諸に問ふ

   

  かなさきいわく             カナサキ曰く

  このうたは かえことならぬ    「この歌は     返言ならぬ

  まわりうた われみゆき    回り歌      我も御幸の

  ふねあり かせはけしく    船にあり     風激しくて

  なみたつお うちかえさし    波立つを      うち反さじと

  まわりうたよむ          回り歌 詠む

(自分も、船で嵐にあったときは回り歌を歌ったものです) 

 (回りうたは呪いまじないいのうたであり、激しい波風を打ち返すもの 断ることはできない)

  

  なかきよの とおのねふり    『長き夜の     絶の眠りの (眠れぬほどのあれ様に)

  みなめさめ なみのりふね    みな目覚め     波乗り船の

  おとよきかな          復の良きかな   (揺れなし)

 

         (眠れぬほどの荒れ様にも、このようにうたうことで静まる)

 

  うたえは かせやみふねは    と歌えば      風止み 船は

  こころよく あわつくなり    快く       アワに着くなり

  わかひめの うたもみやひ    沸姫の      歌もミヤビ

  かえさしと もふせきみ    反さじ と    申せば君の ( 覆すまいと)

  みことのり かなさきふね    御言宣      カナサキが船

  のりうけて めをとなるなり    乗り受けて    夫婦なるなり

 

 ちょっと纏めてみましょう。

アマテル神のオシカ(勅使)としてタマツ宮に遣(つか)わされたアチヒコ(オモイカネ:第6代タカミムスヒの嫡男)に会ったとたん、ワカ姫は恋焦れてしまい、胸の内を和歌に詠み、歌冊(ウタミ)に染めて思わずアチヒコに手渡した、アチヒコも何気なく手に取って見れば、

シイ(紀州)こそ 妻を身際(みぎわ)に 琴の音(ね)の
床(とこ)に我君(わぎみ)を 待つぞ恋(こい)し (逆から読んでも同じ、回りうた)

「紀州にいらっしゃい。私は貴方の妻になっていつも御身の近くで琴を奏でてさしあげましょう。寝床ではいつも我君を恋しい思いでお待ちしています。」

 これを見たアチヒコは突然の告白にたじろいでしまいました、そして思えば仲人もなしにどうして愛を結ぶことができようかと、何とか返歌せねばと思えど焦りが先にたってついに返せず、言葉に詰まり、

「待って下さい。後日必ずお返しします」と言い、その場を何とかつくろって帰りました。

宮中に走り至ると諸臣(もろとみ)に相談しました。何しろアマテル神の美しい妹に恋されたのでは、うれしいやら困ったやらでただただ戸惑うばかりです。

一部始終を聞いていた重臣カナサキ(住吉神)が、「この歌は、受けたからにはもう絶対絶命、返事(カエシゴト)ができない回文歌(マワリウタ)です。

私もアマテル神の御幸(みゆき)のお供で船に乗っていた時のこと、暴風が激しくて波が高いのを打ち返そうと回文歌、

ながき夜(よ)の 遠(とお)の眠(ねぶ)りの 皆目覚(みなめざ)め
波乗(なみの)り船(ふね)の 音(おと)の良(よ)きかな

と詠ったところ、やがて風が止んで波は静かになり、船は心地よくアワ(阿波)の湊に着きました」と話されました。
 しかしそれを聞いても、アチヒコの心は未だに乱れ「ワカ姫に返歌をしなければ。愛にどう答えればよいのでしょうか」と聞けば、ここでアマテル神の詔がありました。

「今こそ、カナザキの船に乗り受けて夫婦(メオ)となるなり」
 この後、アチヒコとワカ姫はカナサキの船が縁をとりもち、今はヤス川(野州・やす)辺に宮(ヤスカワノ宮)を造り、名もアマテル神の妹シタテル姫となり幸せに暮らしました。(アマテル大御神の後継者オシホミミの養育係であり、和歌の奥義を極めた家元、琴・八雲打ちの達人。後にタカテル姫、シタテルオクラ姫にそれらを授ける)

   (ワカ姫のまじないのうたは、相手の心を強くつかみ覆さない力を持っているようです。 カナサキが仲人となりました。言葉には、エネルギーが宿ること。)

 

  やすかわの したてるひめ    ヤスカワの    シタテル姫

  あめはれて そのおしくさ    陽陰晴れて    その押草

  ぬはたまの はなほのほの    ぬばたまの    花はほのぼの (夕闇に映える花のように)

  からすはの あかきひのて    明らす花の    赤きは日の出

  ひあふきの いたもてつくる    ヒアフギの    板もて作る

  あふきして くにもりをさむ    扇して      国守り治む (ヒノキで作られた扇)

  をしゑくさ            教え種

   からすあふきは             明らす扇

  そふはなり ひあふき    十二葉なり    檜扇の羽は

  みなはらふ あわのよそや    穢 祓ふ      陽陰の四十八ぞ  (アワ歌)

  またみそふ みちなわすれそ    また禊ふ      道な忘れそ (みそふ:三十二)

   はなきねは ゐなつつるお    ハナキネは    五・七に綴るを

  あねとふ あねのこたえ    姉に問ふ     姉の答えは (姉:ワカ姫)

  あわのふし            「陽陰の節

   またとふはらひ             また問ふ 「祓ひ

  みそふなり            三十二なり」

   いまみそひとは             「今 三十一とは

  このをしゑ あめのめくり    この教え     天の回りの

  みむそゐゑ よつみつわけ    三六十五回    四つ・三つ分けて

  みそひなり つきおくれ    三十一なり    月は遅れて

  みそたらす まことみそひそ    三十足らず     まこと三十一ぞ

  

   (短歌(うた)は、何故 五・七調の 三十一文字となるのかを尋ね、ワカ姫が答える。)

 

  しかれとも あとさきかかり    然れども     後先かかり (陰と陽の掛り合いから)

  みそふかも あるまうかかふ    三十二日も    粗る間うかがふ

    (月によって日は  32日となる場合もある その陰陽が乱れる間を窺う。)

 

ソサ(熊野)で成長したハナキネ(ソサノヲ)は、母譲りの美貌と歌の才に恵まれた姉に、和歌について尋ねました。
 「和歌はなぜ五・七調に綴るのですか」

姉ワカ姫は、「それは天地(アワ)の節(ふし)です」と答えました。

再びハナキネが、「それでは何故、祓(はら)いの歌は三十二文字で、一般には三十一文字なのですかと尋ねると、

姉は、和歌の三十一文字は大変理にかなっていて、天を巡るこのクニタマ(地球)のメグリ(公転)は一年を三百六十五日で回ります。

この一年を四季に分け、又、上旬、中旬、下旬に分けると、約三十一となりますが、月の方は少し遅くて三十足らずです。(月の周期は、29.5日。この頃は、月の周期月読歴でした。)

しかし真(まこと)は三十一日です。五月から八月の間は約三十一日強となり、後が先に掛かるので三十二日にもなります。この変則の間(ま)を窺(うかが)う汚(けが)れや、災いを祓う歌の数が三十二です。
 美しく四季られた敷島(しきしま)の上に人として生を受けた私達は、男子は三十一日目に産土神(うぶすな)にお礼参りをし、女子は三十二日目にお礼参りをするのも、この地の恵みに感謝するためです。これにより敷島を「和歌の道」と言います、と答えました。

 

  おゑものお はらふうた    汚穢モノを    祓ふは歌の (穢れを祓ううた)

  こゑあまる            声余る

   しきしま             直州の上に   (平和で穏便な国)

  ひとうまれ みそひかにかす    人生まれ      三十一日に活す

  みそふ うたかつもて    穢は禊ふ     歌の数以て

  わにこたふ これしきしま    曲に応ふ     これ直州の (これが、安寧の国ヤマト)の

  わかのみちかな          「沸の道かな」  (和歌の道)

 

ホツマツタヱ全文紹介! 天の巻 ②。天七代 床酒の文 原文ひらがなと漢字読み。

ひとこと

今回は、天の巻1~16までの 「1」 までしか書けませんでした。・

ホツマツタヱは、かなりの文量となりますので、すこしずつお話していきたいと思います。時間はかかりますが、定期的に書き加えていきたいと思います。

 

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